ヤングケアラーとは?日本の現状と子どもが抱える4つの問題点を解説
Indeed キャリアガイド編集部
ヤングケアラー イメージ画像
ヤングケアラーは家族のケアをするために、家事や家族の世話などを日常的にする子どもたちを指します。
負担を抱えているヤングケアラーに対してサポートが必要にも関わらず、行政の支援はまだまだ行き届いていない社会問題として近年着目されています。
本記事では、ヤングケアラーの現状やヤングケアラーである子どもが抱える問題点などを解説します。
初めて言葉を耳にした方にもわかりやすく解説しているのでぜひご覧ください。
ヤングケアラーとは何か?
ヤングケアラーとは、障がいや病気、要介護などを抱えていてケアを要する家族がおり、介護を担わざるを得ない状況で家事や家族の世話などを行う18歳未満の子どもを指す言葉です。
なお、20代、30代までの子どもを含めて「若者ケアラー」と呼ぶこともあります。
ヤングケアラーは本来大人が担うべき、以下のようなケアを行っています。
障害や要介護などを抱える家族の入浴や介助をする
病気で働けない親の代わりに労働を行う
家族に代わって幼い兄弟の世話をする
ケアが必要な家族がおり、介護できる大人がいない場合、子どもがその役割を担わざるを得ません。
子どもが家族をケアすること自体は問題ではありませんが、子どもとして守られるべき権利が侵害されているケースもあり支援が必要です。
ヤングケアラーの現状
ヤングケアラーとなっている子どもは多いにも関わらず、行政の支援がまだ十分に進んでいない課題があります。
ヤングケアラーの現状をさらに掘り下げて解説します。
中学2年生の約17人に1人がヤングケアラー
文部科学省と厚生労働省が令和3年3月に公表した「ヤングケアラーの実態に関する調査結果*¹」によれば、中学2年生の約17人に1人がヤングケアラーであることがわかりました。
しかし、自身がヤングケアラーであると自覚している子どもはわずか2%に過ぎません。中学2年生のうち、12.5%は自分がヤングケアラーであるかどうかわからない状況でケアを行っていることが判明しました。
また、ヤングケアラーという言葉自体の認知度も低く、聞いたことがないと答えた人は全体の80%を超えています。
幼少期から介護が日常の一部となっていたため、自覚のないまま負担を背負っている子どもも多く存在すると推測されます。
*¹出典:文部科学省「ヤングケアラーに関する調査研究について」
行政の支援が十分に進んでいないのが課題
ヤングケアラーの子どもが多いのに対し、行政側の支援はまだ十分とは言えません。
国は、自治体に実態調査を勧めるように促していますが、多くの自治体で調査予定が決まっていません。
ヤングケアラーの支援には、福祉、教育などさまざまな観点からのフォローが必要であり、管轄する部署が複数に渡るため、調整に苦戦しているのが実情です。
また、貧困家庭などの問題と比較して外部から発見が難しく、支援が必要な子どもの特定が困難なことも課題となっています。
ヤングケアラーの子どもが抱える4つの問題点
ヤングケアラーの子どもは、以下のような問題点を抱えています。
学業に支障が出る
交友関係が希薄になりやすい
睡眠不足や生活リズムが崩れるなど健康が損なわれる
就学機会の制限がある
学業に時間を割くことができず、学力への影響が懸念されます。
また、部活動や友達と遊ぶ時間が奪われ、交友関係が希薄になり孤独を感じる子どもが出てくるのも問題です。
介護が必要な家族のケアなどで昼夜逆転してしまい、体調を崩すケースもあります。
さらに、介護の負担が進路に影響するケースもあります。そもそも勉強する時間がとれない、金銭的な負担から労働せざるを得ないなどの理由で進路を制限されてしまう事例も出てきています。
ヤングケアラーになってしまう原因
では、なぜヤングケアラーになってしまう子どもたちが出てきてしまうのでしょうか?主な原因について解説します。
核家族化の進行
近年、核家族化の進行により、家族の構成人数が減っています。そのため、支援が必要な親を、祖父母など周囲の大人から支援してもらうことが難しく、子どもが負担を背負うことになってしまっています。
サポートをする他の家族の不在は、ヤングケアラーの存在が生まれる要因の1つとなっています。
ひとり親家庭が増加
内閣府男女共同参画局の調査によれば、ひとり親世帯の数は高い水準にあり、平成28年の調査では約141.9万世帯に上っています*²。
そのうちの母子家庭は約123万世帯です。母親に看護や介護が必要となれば、他に頼る人がいなくなると子どもが看ざるをえない状況に陥ります。
「家族以外の人に知られたくない」「迷惑をかけてしまうのが嫌だ」などの理由で子どもが他の人に相談せずに抱え込んでしまい、やむを得ずヤングケアラーになってしまうと考えられます。
*²出典:男女共同参画局「母子世帯数及び父子世帯数の推移」
日本で実施されているヤングケアラーに関する取り組み
ヤングケアラーの問題について、日本ではどのような支援を行っているのでしょうか。
学校への専門家の配置
子ども自身の心の問題に対応するスクールカウンセラーや、子どものいる家庭を社会福祉の面から支援するソーシャルスクールワーカーの配置を支援する動きが見られます。
学校に常駐しているわけではありませんが、先生や地域の方々と連携をとりながらヤングケアラーの問題対処にもあたります。
専門家が支援の必要な子どもたちを把握し、話を聴くなどして心のケアにあたり、必要に応じて医療や介護などの専門機関につなげる役割を担っています。
広報や啓蒙活動の実施
ヤングケアラーの認知度を高めるために、テレビ番組やCMでの広報活動が活発になりつつあります。
また、厚生労働省は、ヤングケアラーの社会的認知度向上に向けて、2022年から3年間を「集中取組月間」として、広報媒体の作成や全国フォーラムの実施など、広報啓発イベントを開催する施策を実施する計画を掲げています*³。
*³出典:厚生労働省子ども家庭局「児童福祉法改正及びヤングケアラー支援について」
まとめ
ヤングケアラーは大人に代わって家族のケアを行う存在です。しかし、多くの子どもたちが適切な支援を受けていない現状があります。
また、ヤングケアラーのなかには自覚のないまま家族をケアしている子どもも多く存在し、さらなる行政の支援が求められています。
現在、いくつかの自治体では専門の窓口を設けるなど、縦割りの壁を超えた支援が試みられており、今後の支援策に期待が寄せられています。
自分がヤングケアラーである場合は、周囲にヤングケアラーがいるなどの場合は、頼れるところに相談し、1人で抱え込まないようにしてくださいね。
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